偽装・隠蔽・掩蔽偽装(ぎそう)・隠蔽(いんぺい)・掩蔽(えんぺい)

★偽装、隠蔽、掩蔽、これらは戦闘行動中における必須要綱である。
早く言えば、敵の目を欺くことである。
通常、隊員は演習などの戦闘団検閲等では迷彩服を着用する。
また、兵器・車両等も迷彩色が施されている。
これは、山林地帯が多い我が国の特性に合わせて、周囲の景色に兵士や武器等を溶け込ませ、敵からの狙撃などの攻撃を防ぐ為である。
当然に、雪原では白を基調とした迷彩色になるし、米軍を見ても分かるように中東の砂漠地方では、土(砂)色を基調とした迷彩色になる。
さて、迷彩色だけでは不十分である。
そこで、「偽装」という作業が必要になるのだ。
隊員の身体には(兵器車両にも)、迷彩服の上から偽装網という網を着用する。
また、鉄ヘルメットにも迷彩覆を被せ、更にその上に鉄帽用偽装網を被せる。
そうして、それらの着用した偽装網に、木の枝や葉っぱなどを差し込んで、敵の目を欺くのである。
もちろん、顔はドーランや靴墨等で化粧をする。
この時に、他の隊員の偽装を見ると、本人は知らずに、青虫などが這っている草木や、漆(うるし)の木を身体に付けている時がある(笑)。
隠蔽とは、部隊、器資材及び施設等の所在並びにその移動又は活動状況を空地の敵から見えないようにすることをいう。
また、掩蔽とは、部隊、器資材及び施設等を自然の地形又は人工物により空地の敵火(敵の火力/攻撃)又は放射線から防護することをいう。
すなわち、隠蔽とは部隊、器資材及び施設等の偽装といえる。
また、掩蔽とは築城作業のことでもある。
戦場に宿営の為の天幕(てんまく=テント)を張るときには、まず天幕が立つ範囲の大きさの穴を掘る(掩蔽)
当然に大きな天幕を張るときには、それ相応の大きさの穴になる。
ユンボで掘れば作業は早いのだが、いつもそのような建設作業車が用意できるとは限らない。
それに、私の在職当時の上官の言葉を借りれば、「常に訓練は最悪の状況で実施しておく!」のだ。
穴を掘り天幕を立てれば、その上から天幕用偽装網を被せる(隠蔽)。
そうして、その偽装網に木の枝などを差し込むのだ。
これにより、敵からの発見や攻撃に備えるのである。
注意すべきは、夜間、天幕内の灯りが外に漏れないようにすることである。
これがために、天幕の出入口には遮光幕(しゃこうまく)というのを設置する。
そうして、最も留意すべきなのが、その場所を移動する時である。
宿営間に出たゴミや排泄物等の処理は当然ながら、天幕を立てるために掘った穴を元通りに戻さなければならない。
すなわち、敵にこの場所に我軍が宿営していたという証拠を隠滅する必要があるのだ。
我軍の作戦行動を隠蔽するためである。
穴を掘る作業はしんどいが、穴を元に戻す作業の方がしんどかった・・・。


(しんどい=苦しい)

※参考資料:陸自教範/各個の戦闘訓練


有刺鉄線

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