青島節(ナッチョラン節)


歩哨歩哨(ほしょう)・立哨(りっしょう)・動哨(どうしょう)

(一般守則)
複哨及び歩哨は、次の一般守則に基づいて行動する。
1 絶えず敵方を監視し、併せて四周を警戒し、すべての兆候に注意する。
敵に関し発見したならば、速やかに前哨長に報告する。
近接する少数の敵兵は、捕獲するか刺・射殺する。
2 出入を許す者は味方の部隊、幹部、斥候、巡察、伝令とし、その他の者については、前哨長の支持を受ける。
近づく者は銃を構えて確かめ、彼我不明のときは誰可(すいか)する。
3度誰可しても答えない者は、捕獲するか刺・射殺する。
ー以下省略ー

上記は、歩哨の一般守則であり、入隊すると暗記させられるものだ。
特に、普通科や施設科などの戦闘職種では、演習などに於いて、それに基づいた高度な行動や任務が要求される。
守則中に、「刺・射殺」とあるが、これなどは、さすはが自衛隊という内容だろう。
合法的に、言うことを聞かない者や敵らしき者を、有無を言わさず殺人ができるのは、自衛隊ぐらいのものだ(笑)。
この一般守則は、駐屯地での恒常勤務でも、応用される。
いわゆる特別勤務というものだ。
駐屯地では、月に数回、特別勤務である警衛当番というものが回ってくる。
警衛とは、駐屯地の警備業務のことであり、新入隊員のときは見習いで数回、勤務することになる。。
この特別勤務には、他に当直勤務や不寝番などもある。
警衛当番は、通常、0800上番(勤務に就く事)から翌朝の0800下番(勤務を終える事)迄の24時間勤務であり、下番後は、一日休務となる。
その勤務は、通常、3直(3交代)となっており、上番・控え・仮眠を2時間交代で実施する。
尚、1700以降に警衛上番することを、増加警衛と呼ばれる。
警衛の態勢は、警衛司令、営舎係、歩哨係、警衛(歩哨)隊員、受付(婦人自衛官/婦人自衛官がいる駐屯地のみ)等から構成され、駐屯地司令及び駐屯地警備幹部の指示を受ける。
勤務内容は、0800から1700迄と1700から翌朝0800迄に大別される。
通常は、警衛所に於いて、歩哨として上番(警衛所前の正門で立哨するか、警衛所前の椅子に腰掛けて警戒任務に就く)するが、駐屯地内に他の通用門が数箇所ある場合は、その開放時間内のみ同地に於いて立哨する。
また、弾薬庫歩哨として、弾薬庫の周りに於いて警戒任務に就くこともある。
警戒にあたって携帯する武器は、銃剣が主であるが、弾薬庫歩哨のみ銃を携帯する。
1700以降、各門が閉鎖された後は、動哨勤務となる。
即ち、駐屯地内の外柵内に沿って、動きながら警戒(見回り)任務に就くことになる。
外柵沿いには、所々に警衛所に繋がる電話が設置されており、その電話場所に到達する毎に、警衛所に異常の有無を報告するのである。
動哨隊員「表(おもて=警衛所のこと)、○○○、服務中異常なし!」
警衛所「了解!」
このような感じで報告する。
ところが、明け方の4時5時ともなると、警衛所で控えているはずの警衛司令や営舎係や歩哨係のおっさん等が、うとうと居眠りして、なかなか電話に出ない時も多々ある(爆)。
そういう時は・・・、
動哨隊員「表、表、表! たいへんや!」
警衛所「ど、どないしたんや!? 何ぞあったんか!?」
動哨隊員「服務中異常なしや!」
警衛所「あほんだら! さっさと回ってこんかい!」
このような漫才のようなこともある(笑)
警衛勤務に就いての一番の楽しみは、外出して帰隊してきた隊員達や近所に住む隊員達が、腹の減る夜中に、寿司やマクドなどを差し入れてくれることだ。
また、夜中の警衛隊員を目当てに、夜鳴きラーメン屋の親父がやってくることもある。
但し、そのような場合は、巡察に気をつけねばならない。
巡察とは、当直陸曹(通常は当直幹部)以上の隊員が、その当直勤務内に於いて就く特別勤務であり、1700以降に駐屯地内を動哨(警戒)している勤務者である。
私も、現職時代、ラーメンを買っている所を2回ほど巡察に見つかって叱られた経験がある(警衛司令公認だったのだが・・・)。
尚、週末や祝日の場合は、24時間中、通常の1700以降の警衛勤務となる。
さて、私も新入隊員時代に、東富士演習場で、戦闘時の歩哨に就かされたことがある(通常2名一組で就く)。
夜中に警戒していると、敵兵に扮した基幹隊員や巡察が、私達の歩哨線に近づいてくる。
本来であるならば、上述の歩哨の一般守則及び特別守則に基づいて、歩哨線に近づいてくる彼我不明の不審者を立ち止まらせれ誰可(すいか)し、身元を確かめ、敵であるならば捕獲するか刺・射殺しなければいけない。
でも、そこは新入隊員!
恥ずかしいし、それに自信もなかったので、体勢を低くして彼等にばれないようにし、こっそりやり過ごすことにしたのだ(笑)。
翌日、中隊長から、「これが実戦ならば部隊は全滅しとった!」とお小言を言われた。
ばれていたのだ(爆)

※主な語句の簡単な説明

①歩哨(ほしょう/警戒任務に就く者の総称)
②立哨(りっしょう/①で、その場で警戒任務を行う者)
③動哨(どうしょう/①で、順次移動しながら警戒する者)
④守則(しゅそく/任務に於いて守るべき決まりごと)
⑤誰可(すいか/彼我不明の者に、「誰か!?」と問いを発すること)
⑥巡察(じゅんさつ/味方部隊の服務状況、或いは敵情を視察する者)
※巡察と似たものに斥候(せっこう)があるが、これは純粋に敵情を探る者。


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