自衛隊歌・栄光の旗のもとに

前書き(プロローグ)プロローグ(前書き)

★考えてみれば、私が若き頃在職していた時の自衛隊と今の自衛隊とを比べれば、あらゆる意味で隔世の感があろう。
私は高校卒業後の4年間、陸上自衛隊に奉職していた。
当時の自衛隊は、凶悪事件でも起こして起訴されたり、実刑でも食らっていない限り、日本国籍さえ持っていて、自分の名前を書けるぐらいの能力があれば誰にでも入隊できた。
もちろん、防衛大学や防衛医科大学、それに航空学生など、少々頭が良くないと入れない部門もあることにはあった。
しかしながら、一般隊員は上述の如く誰でも入れたというのが実情だった。
いちおう入隊試験らしきものはあったが、その試験は地連(地方連絡部=自衛隊の募集広報部門)の奥で極秘裏に行われ(笑)、解らない設問は担当係官が答を教えてくれるのである(爆)。
だから自分の名前さえ書ければ入隊試験はパスするのである。
地連としても年間何名を入隊させよとの上部組織よりのノルマもあったであろうし、また防衛庁としても毎年新入隊員の予算を組んであるので、組織維持並びに次年度の予算確保の為にも是が非でも予定の新入隊員は確保せねばならないのであろう。
ちなみに一般隊員とはいえ、女性自衛官は入隊が難しい。
早く言えば、自分の名前が書けるだけでは入隊できない。
収容施設及び女性就業職種に限りがあるから、入隊枠が当然に狭くなるからである。
このように誰でも入れる(男性自衛官)時代ではあったが、現代はどうだろう!?
公務員試験対策用の予備校に、自衛官コースがあるくらいである。
久しい不況に因る就職難とも相俟(あいま)って、誰でも入れる自衛隊時代はすでに過去のものになったであろうことは想像に難くない。
また、我々が在職していた頃と今では、その待遇にも隔世の感がある。
私たちの自衛官生活は、蛸(たこ)部屋生活であった。
恐らくは現場作業員や組事務所と大差はなかったであろう。
現在の自衛官が居住する隊舎(たいしゃ)は、二人一部屋でシャワーまで完備しているらしい。
当時の私たちからすれば誠に羨ましい限りである。
さて、このホームページは冒頭で紹介したように、私の自衛官時代の想い出話である。
なにぶんにも、一昔も二昔も前の話である。
色々な面で現在の自衛隊とは違っていることもあるだろうし、また変わっていない面もあるだろう。
これから自衛官を目指している諸子も、またすでに入隊が予定されている諸子も、どうか不安になることなく、それらのことを割愛して読み進んで頂きたい。
願わくば、この拙文が国民の皆様にして国防意識の高揚や自衛隊に対する関心の増大に寄与することがあるならば、筆者望外の喜びとするところであります。

敬礼

2003年5月吉日
筆者:冴島歳三


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。

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