噫中村大尉

壮行会壮行会

★私の家には、高校の同級生が集まってきてくれた。
この日、いよいよ私は故郷を後にして陸上自衛隊に晴れて入隊することになっていたのだ。
その見送りに彼らがやってきてくれたのである。
やがて自衛隊から迎えのジープが到着した。
私は家族や多くの級友達の歓声に送られて、GHQに連行されるA級戦犯のごとくに、家を後にして車上の人となった。
そうして、一旦、隣町の自衛隊地方連絡部出張所に立ち寄った後、この日同じく入隊する新入隊員達と一緒に○○県の自衛隊地方連絡部本部に連れていかれた。
そこでは県内から集められた新入隊員達が集まっていた。
全員が集まったところで簡単な壮行会が催された。
そこで私は皆から異様な注目を浴びることになる。
もともと体格のいい私ではあるが、その日は旧日本軍の陸軍軍服のような「制服」を着ていたからである。
誰が見ても右翼少年であった(笑)
ところで、その年の春に高校を卒業して入隊する隊員は、3月に入隊する者(3月隊員)と4月に入隊する者(4月隊員)とに分かれていた。
私は迷うことなく早いほうの3月隊員を希望した。
それは、祖父から「軍隊は階級ではなく刑務所と同じで、一日でも早く入営(入隊)した者が上官だ!」と教えられていたからである。
縦社会の自衛隊である。
少しでも有利な方がいいだろうと考え、3月隊員を希望したわけである。
壮行会が終了した私たち新入隊員は、マイクロバスに揺られ、一路、陸上自衛隊大津駐屯地に向かった。
私たちは、そこで三ヶ月間の新入隊員前期教育を受けることになるのである。


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。


有刺鉄線

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