★入営(入隊)してすぐに私たち新入隊員は、以下の行事を粛々と行わされた。(身体検査)
一般に学校や会社等で行われている身体検査、身体測定の他に自衛隊名物(警察名物でもあるが)の局所の検査がある。
担当医官の前でズボンとパンツを降ろし、性器を見られるのである。
恐らくは、集団生活をする上で障害となる性病等の有無を見るのであろう。
前が終わると今度は後ろだ。
両足を肩幅に開き、両手を床につけて尻を突き出すのである。
その際に、肛門内にガラス製の棒を差し込まれる時もある(※)。
これは、痔疾や寄生虫の有無を見るらしい。
当然のことながら、この検査で異常が発見されたら入隊は取り消しとなる。
班長にも言われたが、「入隊式」が終わるまでは、私たちは「お客様」らしい(爆)(散髪)
入隊後、最初に大騒ぎになる行事である(笑)
私のように最初からその気でスポーツ刈りにしている者や坊主頭の者には用のない行事だ。
新入隊員の中には、なかなか吹っ切れずにチリチリのパーマがあたったままの者やリーゼント頭の者もいる。
それらの者は容赦なく呵責され、断髪式で自衛官らしいヘアースタイルにさせられるのだ。
ちなみに、前期後期の教育期間が終了すると、よほど奇抜なものでない限り、ヘアースタイルは自由になる。
もっとも極端な茶髪や長髪はだめだが・・・。(官品〔かんぴん〕受領)
自衛隊の制服や装備品などを貸与されるのである。
新入隊員達は一列になり、両手を前に突き出して各衣服装備品担当者の前に進み出る。
その両腕に次から次へと貸与品が詰まれていくのだ。
貸与される装備品(後で返納義務のある物品と、返納義務のない消耗品がある)は、覚えている物だけで以下のとおりだ。
・冬用制服上下一着 ・夏用制服上下一着 ・制帽一個 ・夏用半袖制服上着一着 ・作業服上下二着 ・戦闘服(迷彩服)上下一着 ・作業帽二個 ・白カッターシャツ一着 ・半長靴二足 ・短靴一足 ・白手袋一個 ・厚手の靴下(黒)二足 ・薄手の靴下(黒)一足 ・長袖シャツ二着 ・半袖シャツ二着 ・作業外被一着 ・冬用コート一着 ・レインコート一着 ・半長靴用茶色靴墨一缶 ・短靴用黒色靴墨一缶 ・靴磨き用ブラシ一個 ・靴手入れ用具袋一個 ・洗濯ブラシ ・ベルト二本 ・ネクタイ一本 ・携帯裁縫道具 ・ライナー(プラスチック製ヘルメット) ・ライナー用顎紐 ・鉄甲(鉄製ヘルメット) ・鉄甲用顎紐 ・弾帯一個 ・弾嚢(だんのう=弾丸カセット入れ) ・サスペンダー ・身体用偽装網 ・ヘルメット用偽装網 ・ヘルメット用偽装覆 ・アルミ製水筒、水筒覆(すいとうおおい) ・兵用飯盒 ・衣嚢(衣服入れ) ・雑嚢(小物入れ) ・携帯救急用具 ・体操帽(給与から代金差っ引き) ・部隊章(部隊のワッペン) ・制服用階級章 ・作業服用階級章 ・制帽用自衛隊章 ・作業帽用自衛隊章 ・名札 ・教本/新入隊員必携(通称・赤本) ・教本/営内服務 ・隊歌集(自衛隊歌と軍歌の本)
上記の他に自費で、ジャージ上下、短パンと半袖運動着、運動靴などを用意させられる。
さて、散髪に次ぐ大騒ぎがやってくる。
貸与された制服や作業服等に、同じく貸与された階級章や自衛隊章、部隊章などを縫い付けなければならないのだ。
幸いにして私は裁縫ができたが、新入隊員の中には生まれてこのかた、針と糸など持ったことがないというのが大半である。
しかも階級章などは肩から何センチ横から何センチなどと、事細かく縫い付ける位置等が厳格に決められている。
間違った位置や、斜めに縫いつけられていようものなら、たちまち班長から叱責されてベリッと剥がされてしまう。
隊内は大パニックである。
私は待針を使用したり、階級章を所定の位置にセロテープで固定してから縫いつけるなどの工夫をして、誰よりも早く縫い付けが完了した。
やはり、男ではあっても基本的な裁縫技術は身に付けておいた方が良い!(※)菌検索と呼ばれる検査であり、自衛隊では炊事当番(KP作業員)等に任命されると、必ず事前にこの検査を受けさせられる。