血潮と交へし

隊内生活隊内生活

★私たち新入隊員の前期教育期間における生活は、だいたい以下のようなもであった。
・06:30 起床(6時半とは読まない。「マルロクサンマル」と読む。以下同じ)
起床ラッパで起こされるが、起きてすぐに作業服上下、半長靴着用の出で立ちで走って営舎前に集合、点呼を受ける。
ここでモタモタして集合が遅れると腕立て伏せの罰則や、再度就寝しての集合やり直しなどのペナルティーを課せられる。
もちろん連帯責任である。
そこで、動作のにぶい隊員を抱えている班は、起床ラッパ前にその隊員を起こして準備させておくか、作業服上下を着させて半長靴も履かせたままで就寝させるという一種のいぢめをやる。
少々可哀想ではあるが、その隊員一人のために全員が連帯責任を負わされて罰則を食らったりするのは割に合わないからである。
素早く着替えを整える為の模範的且つ基本的な起床動作としては、まずラッパがなったら帽子を被り、弾帯を首にかける。
次に、ズボンに両足をつっこみ、半長靴を履いてその紐を巻き上げる(ズボンを履くのと半長靴の紐を巻き上げるのは走りながらではできないから)。
後は、集合場所に向かって走りながら、上着を着用しつつズボンのベルトを締め、首にかけていた弾帯を腰に巻くのである。
動作の遅い隊員に限って、これらの逆をやっている。
すなわち、作業服上下を着用した後に、営内でモタモタと半長靴の紐を巻き上げているのだ。
走りながらできることは、走りながらやった方が時間短縮できる。
(↑ここ、大事ですよ、これから入隊される方は特に!)
※私の在職当時は、起床時間が06:00(冬季06:30)でした。
・07:00~ 食堂にて朝食
・08:00~ 朝礼後課業(訓練)開始
・08:00~12:00 課業(訓練)
・12:00~13:00 昼食及び休憩
尚11:30からでも食事できる。
これを早メシという。
本来は特別勤務者用の為の配慮だが、訓練期間終了後の私はいつもこの時間に食堂に行った。
理由は、「腹が減った」からである(笑)。
13:00~17:00 課業(訓練)
17:00 夕食
16:30からでも食事ができる。特別勤務者への配慮。もちろん訓練期間終了後の私はこの時間に食堂へ行っていた。
この時間に行った方が、食堂が空いているからである。
(17:30)後期教育隊では、この時間から魔稽古(本当の字は間稽古)というのがあって、長距離走(ランニング)をさせられた。
訓練でへとへになり、夕食後数十分も経たないうちに、また走らされるのは本当に辛かった・・・。
・18:00 命令受領(当直幹部が部隊当直指令より命令受領)
・(17:00)~20:30
共同浴場で入浴したり、自習室で勉強したり、娯楽室でテレビを観たりできるが、遊んでばかりもいられない。
洗濯をしたり、靴磨きをしたり、作業服のアイロンがけが待っている。
自衛隊では、半長靴(短靴)をピカピカに磨き上げていないといけない。
靴の裏まで靴墨をつけろと言われた!
何故か!?
靴は2セット受領している。
履いていない方の靴は当然に靴箱かベッドの下にある。
その履いていない方の靴の靴底が汚れていては、見た目に見苦しいという理由からである。
次に重要なのは、作業服のアイロンがけである。
教育期間が終了して一般部隊に配属されたら、特別勤務(警衛勤務=門番)に就く以外は、そんなにやかましくは言われないが、教育期間中は、ピシッピシッと触れば手が切れるくらいに、アイロンがあたって折り目が浮き出ていないとならないのだ。
PX(隊内売店)にはアイロン不要の作業服が売られてはいるが、教育期間中は着用禁止である。
こっそり購入しても、生地の違いですぐばれる。
ばれたら罰則が待っている(笑)
その他には、制帽の自衛隊章やベルトのバックル、それに制服の金属製ボタンなどの磨き上げである。
靴にせよ、ボタンにせよ、バックルにせよ、自衛隊は光り物が好きである!
・20:30 営内班(居住区域)の清掃作業
・21:00 点呼(営舎前に集合、雨天時は営内班前、尚、一般部隊では割愛して行われない。)及び明日の訓練予定の連絡
この点呼の後、班長や助教の機嫌が悪い時には、「腕立て伏せ」や「その場跳躍」などのしごきが待っている。
機嫌が良いときには、全員で隊歌合唱(火のないキャンプファイヤー。自衛隊歌や軍歌を合唱)で和やかなひとときを持つ(笑)
更に、チョー機嫌が良いときには、点呼後、すぐに解散になる(爆)
・22:00 消灯、就寝
自習したい者は、23:00まで自習室での自習が許可される。前期教育期間中は不可。
尚、土曜日は12:00で課業(訓練)終了(当時)。
日曜日は08:00起床であった。
前期、後期教育期間中は平日の外出不可であり、月に一回ていど土日二日間の特別外出があった(当時)。
また、一般隊員の門限は23:00、陸曹(階級)以上は0:00であったが、教育期間中は門限が早かった(当時)。
※消灯就寝時間前後ともなると、彼女に電話するために公衆電話へ走ったり、いかがわしい雑誌を持ってトイレの個室に消える隊員が少なくなかった(笑)


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。

有刺鉄線

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