陸軍行進曲其の二

恒常業務と総出訓練恒常業務と総出訓練

★私の司令部総務課庶務係としての、恒常業務は実に多岐にわたっていた。
主たる業務は司令部総務課で使用するRS(消耗品)の管理であったが、その他に総括班長や総務課長から特別の作業を要請されることもあった。
また、末広准尉や山口曹長、宮崎2曹、岡山2曹などからも、色々仕事を教えてもらった。
総務課総括班にとって一番重要な作業は、師団史作成作業と師団創立記念日の被招待者名簿作成作業、それに年に一回の師団追悼式の準備などであった。
師団追悼式というのは、殉職隊員の慰霊祭のことである。
この追悼式の準備で、一番苦労するのが式場を囲う鯨幕(黒白の葬式のときの幕)の準備であり、いつも末広准尉がこれを借りるのに東奔西走していた。
購入すれば良いのだが、この鯨幕は防衛庁が購入を許可しなかったものと記憶している(たぶん縁起が悪いから。紅白の幕は業務隊が保管している。)。
演習では、総務課として指揮所演習に参加する他は、付隊の管理小隊へ炊事支援に派遣されたり、総務課長の従兵として同行したりした。
付隊では、毎週火曜日が総出訓練日となっており、特別に恒常業務が忙しくない者は参加することになっていた。
車両小隊、管理小隊、保安警務隊、司令部勤務班など、付隊員はその職場職域が分かれていたので、皆が顔を合わせる良い機会でもあった。
総出訓練でよく行われたものは、射撃訓練や持久走、それに行軍などであった。
また、精神教育もよく行われた。
精神教育とは、国防に関する啓蒙教育がその主なものである。
また年に一回、出動準備訓練や機動訓練なども行われた。
出動準備訓練とは、その名のとおり非常事態が起こった場合に備えての出動準備予習のようなものだ。
隊内の私物品をまとめたり、時には遺書なども用意したものだ。
機動訓練とは、部隊保有車両に分乗して中距離移動を行うちょっとしたドライブではあるが、その実態は、いずこかへ宴会に行くことでもあった(笑)。
私は総務課で事務作業をする以外は、よく管理倉庫へ行って雑談をして遊んだものだ。
また、事務所外で仕事をするフリをして、早飯(1200昼食、1700夕食、それぞれの規定時間より30分早く食堂へ行くこと)をしたことも懐かしい。


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。

有刺鉄線

PREVIEWホームNEXT


All Rights Reserved,Copy Right(C)Y.B/OfficeLEIBSTANDARTE,2003