広瀬中佐

殉職隊員殉職隊員

★悲しく残念なことではあるが、毎年、陸海空自衛隊では、必ず何名かの殉職隊員が出ている。
殉職隊員、すなわち職務の遂行中に、何らかの事故で死亡することだ。
私の在職期間中、所属する部隊では殉職者は皆無であったが、駐屯地内では、第3偵察隊において隊員が偵察用オートバイを運転中殉職している。
演習中に知り合った、八尾駐屯地の第3飛行隊のヘリコプターのあるパイロットが殉職した。
新聞に掲載された、彼の名前と写真を見て驚いた記憶がある。
東富士演習場の米軍キャンプ近くで、ヘリコプターが失速して墜落炎上したようだ。
間髪を置かず米兵達が消火救出作業にあたったが、乗員は全員死亡した。
第7普通科連隊の、私の同期の隊員が他の隊員に向けて、演習中誤って空砲を発射し、重傷を負わせた事件もあった。
(空砲でも、近接距離より発射されると、火薬の残滓等によりかなりの衝撃を受ける。)
無反動砲の後方に立ち爆風で吹き飛ばされた隊員や、手榴弾の上に覆い被さり部下の隊員を爆発から守って殉職した隊員もいる。
このように、自衛隊は有事平時を問わず、常に危険と隣り合わせの職場である。
危険管理は十分に施されているが、不可抗力というのもやはりある。
毎年秋には、千僧駐屯地でも第3師団追悼式が行われる。
音楽隊の吹奏する慰霊曲の中、慰霊碑前にて殉職隊員の霊を慰め、儀仗隊が弔いの空砲を天空に向けて発射するのだ。
殉職隊員よ、安らかに眠れ・・・。


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。

有刺鉄線

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