自衛隊

さらば自衛隊!さらば自衛隊!

★自衛隊を去る日がやってきた。
私はこの日まで、有給休暇を処理し、身辺の荷物等をまとめて新しい居住先へ運んだ。
退職するその日は、何だか静かな一日であった。
考えてみれば、短くもあり長くもあった4年間であった。
よくも4年間、やっと4年間、まだ4年間・・・そのような感想である。
司令部付隊の朝礼で、福田准尉から「本日付けで退職する・・・」と紹介された。
壇上から眺める隊員達のどの顔も、皆、すでに懐かしい顔のように感じられた。
朝礼後、近くで朝礼をしていた業務隊の知り合いの婦人自衛官が、名頃惜しそうにやってきてくれた。
司令部付隊配属後まだ間もない頃、駐屯地業務隊の外来係へ臨時勤務として派遣されたときに知り合った婦人自衛官だ。
私は、朝礼後、改めて司令部付隊各小隊や司令部の各部署の知人、それに駐屯地業務隊を始めとする各部隊の知人に退職の挨拶をして回った。
それらの人々に会うたびに、楽しかった出来事が走馬灯のように脳裏に思い浮かんだ。
この日は土曜日であったので、1200に総務課の終礼が行われた。
朝礼と同じように、今度は総務課長である小池2等陸佐が、「本日付けで退職する・・・」と、私を紹介してくれた。
「長い間ありがとうございました! 私は本日付けで退職しますが、退職後もまた現職時代同様のお付き合いをお願いします!」
これが、私の挨拶であったと思う。
小池課長は私への餞別に、純金製の菊の御紋入りの朱肉を贈って下さった。
職場と上司と同僚と後輩に恵まれた幸福な自衛官生活であった。
やがて、本当に自衛隊を去る時間がやってきた。
駐屯地正門、警衛所前には、司令部付隊員達が見送りに集まってきてくれた。
私は、それらの一人一人と固い握手をした。
世話になった人、世話にならなかった人、ケンカした人、一緒に酒を飲んではバカ騒ぎをした人、酒に酔って絡んできた人。
皆、愛すべきいい人達だった。
正門警衛所前、かつて多くの先輩上司達がやったように、まず司令部庁舎屋上に翻る「国旗日の丸」に最敬礼。
「ありがとうございました!」
次に、左斜め方向にある「殉職隊員の碑」に最敬礼。
「ありがとうございました!」
最後は、警衛所の警衛司令に敬礼。
「ありがとうございました!」
その日の警衛隊は、第3輸送隊が担当であり、司令部輸送課の知人の顔も見えた。
「また遊びに来いよ!」
私に声をかけてくれた。
そうして、再度、見送りの隊員達に頭を下げた。
「本当にありがとうございました!」
私は駐屯地に背を向けて歩き始めた。
そして、心の中でつぶやいた。
「さらば自衛隊! ありがとう!!」


※文中に登場する個人名、団体名、組織名等は一部架空及び仮名であり実在のものと異なります。

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